書くことの効果

「自殺対策」って、口にするのも書くのにも
抵抗がなくなってきた。

self-stigmaの解消といえるのかしら。これはすごいことだ。

最初は自殺のひとことだって、打てなかった。


さて、明日9月6日はWHOの「世界自殺予防デー」です。
NPO法人ライフリンクがWHOの後援をうけて、
東京ビックサイトでシンポジウムを開催する。

13時から国際会議場
8百人は集まったらしい。日々の積み重ねって大切だ。


それから、社会的責任についても、
もう少しで、もう少しだけ分かるきがした。


秋田での調査用に、倫理審査を受けることにした。


今のところ、今の調査から得られた一番役に立つ知見。


(Stella B et al, Soc. sci. med. 2009)

ナイジェリアでは、エイズに対する偏見と誤解と知識のなさから
HIV予防活動が進まなかったことに危機感を抱いた政府が
マスメディアを使って大々的に啓発キャンペーンを実施したらしい。
キャンペーンの効果をジョンズホプキンス大の研究者が評価している論文を
見つけて、大変興味深く読んだ。

男女ともに、短期間に複数種類の媒体から同じ情報をえると
HIV陽性者に対する許容度が上がる。これは特に新しい知見ではなくて、

新しかったのは、その地域で使える全ての媒体を使って、
情報の流通量を飽和させても、そうなっていない地域とHIV陽性者への許容度に
大きな差はなかったって結果だ。

そこまで頑張ることはないってことか。
でも、差が出なかったことの理由は
あまり考察されていなかったし、
後続の研究が待たれる的なことが書いてあった。


研究デザインも分析方法も、論文の文章も分かり易い、と思った。
こういう研究がしたい。


HIVに関する研究は、それこそ飽和状態に近いくらい
いろいろな角度から光が当てられている。
医療が進歩したおかげでHIVは慢性疾患だと認識されるようになってきた。
私は、自死遺族の経験は、慢性疾患患者の経験と重なる部分が多いのではないかと、個人的に思っている。
身内が自殺した、という経験は、致死的とまではいかないけれど
放置することもできず、慢性的といえる。
それに、どちらも責任を転嫁する相手がいない。
社会的には、スティグマや偏見が根強く、
自分の状態を気安くいえない。

そんなわけで、HIV関連の研究は参考になるものが多い。


薬害の場合には被害者と加害者がいるし、
記憶が時間とともに薄れていくのに対して、疾患はおそらく
年齢とともに悪化するものだから、大きく違う所もあるのは
もちろんそうなのだけれど。